写真 © Yasunori Shimomura
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南郷町の家Ⅱ

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場所
兵庫, 日本
2012

建築地は阪急夙川駅より北東に1km離れた場所に位置する緑豊かな環境に恵まれた場所である。河川敷沿いにある夙川公園は松と桜の並木が続き、阪神間有数の景勝地として有名な地域である。
クライアントは海外のコンドミニアムで休暇を過ごされていることもあり、扉や廊下が少ないオープンな環境を望まれ、ゲストを招く事ができるような家にしたいとの要望であった。
地盤は道路面より3.5m上がった高台にあり、西側は斜面地の雑木林が続きさらに隣地は3m程の高低差がある土地であった。敷地内には樹齢何百年にもなる松の木があり、家を被い尽くすように聳え立っていた。
松は長寿を表す縁起のよい木とされている事からこの松の木を生かすべく計画をスタートさせた。
東側には道路を挟んでマンションがある為、視線を考慮し、玄関扉も2層に渡る大開口とした。西側は急な傾斜地になっている為、土留めを兼ね壁を配置、この壁を利用し中央にテラスも設けることで周辺からの視線を気にする事なく映画を楽しんだりバーベキューを楽しんだりといったプライベート空間を誕生させた。
テラスを囲むようにリビング・ダイニング・キッチン・スタディルーム・2階のフリースペースを設置。一体空間でありながらそれぞれの空間が特徴を持ち曖昧な関係で繋がっている。何処にいても家族の存在を感じることができ仲のよいご家族にとっては心地よい距離感である。エントランス、スタディルームは2層にわたる吹抜けとしダイナミックな空間を演出した。
導線である視線の先には水や緑といった外部環境を望めるように計画し、毎日の生活に自然の豊かさを感じられるものとした。
背景を白色とする事で樹木の枝や葉がより浮き立ち、吐水口から流れる水が水面を揺らし動きを与える。光と影が鮮明になり、内外の領域を曖昧にしていく。一見、無機質に見えがちではある白壁はキャンバスとなって自然の移ろいを運んでくれる。新たに桜が備わり美しい花が季節を運んでくれる。松の木はこれからも家族に寄り添いながらこの邸宅を見守り続けるだろう

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